2024年8月

	令和6年8月
① 神野祐紀雄	・桜島溶岩（らば）累々と雲の峰・砂風呂や浴衣の裾を整へて
② 遠山園生	・片陰に見守るママや遊園地・包丁に西瓜バリッと音を上ぐ
③笹尾純子	・赤となる身をよせ日陰の信号機・病む人の声閉じこめる窓や朱夏
④中根弘子	・片陰で立ち話するご近所さん　・せはしさや猛暑に負けずミシンふむ
⑤池上悦美	・ほほづきの花や御空の青さ増す・入道雲パステルグレーのたくましさ
⑥木田美智子	・片陰に招き入れたる睦まじさ・墨の香を届けし友へ夏便り
⑦ 加藤太一	・巌山の片陰に在す地蔵尊・ギブスして使えぬ腕や夏の果
⑧西尾えり子	・夏まつり準備の声も嗄がれて・サングラス外すトンネル峠道
⑨ 三浦鏡子	・バス待ちの日陰を見つけ身を寄せる・街路樹の連なる紅白百日紅
⑩磯村通子	・片かげり息をととのへバスを待つ・術前のざわつく気持ち行行子
⑪水井峰子	・外つ国の選挙戦聞きメロン食ぶ・残鶯の声聞き浸かる栃尾の湯
⑫梶野弘美	・片陰や行き交ふ人を迎へ入れ・朝涼やいと心地よき鳥の声