2024年7月

	令和6年7月
① 神野祐紀雄	・髪洗ふ行き先決めぬ旅支度・蝶二頭溶け入る白き夾竹桃
② 遠山園生	・節くれし両の手櫛や洗ひ髪・甚平の父は謡を朗朗と
③笹尾純子	・田水張る老爺の意気地街の角・黒南風をヤフー予報が連れてくる
④中根弘子	・洗い髪揺らす乙女の美しき顔・郡上踊り笑顔つなげし下駄の音
⑤池上悦美	・洗ひ髪束ねていそぐ夕餉かな・茶挽草宿場情緒の亀山市
⑥木田美智子	・洗ひ髪ぱさつく髪に手櫛入れ・風鈴の音に目覚むる昼下がり
⑦ 加藤太一	・背の汗苦行のごとき散歩道・雨降りて緑かがやく夏一日
⑧西尾えり子	・髪洗ふ美容師の声おぼろげに・線状に留まる雲や暴れ梅雨
⑨ 三浦鏡子	・鬼灯のぽつんと赤く映えてをり・庭の隅どくだみの花咲き競ふ
⑩磯村通子	・答へでぬネット検索根切虫・薬味皿引き寄せ啜る冷し麦
⑪水井峰子	・手毬花ゆれいる先の海恋し・飛騨路行く峠の先の夏薊
⑫梶野弘美	・洗い髪タオルを肩に運転す　・紫のブーゲンビリア母の笑み