2024年6月

	令和6年6月
① 神野祐紀雄	・脳ドッグ済ませて啜るところてん・風つかむ鳶の視線や潮干狩
② 遠山園生	・童心に返りて食むやところてん・蚊帳吊や祖母の手伝ひ背伸びしつ
③笹尾純子	・迷ひ来るひとさしの舞揚羽蝶・残鶯の鳴いて出発無人駅
④中根弘子	・記憶呼ぶ寺でいただく心太・花友や花花花で五月尽
⑤池上悦美	・ところてん食べれば母を思い出す・雨に濡れ摘む紫蘇の葉や夕餉膳
⑥木田美智子	・夏服に少女の胸の弾みをり・水虫の住処にされし足の裏
⑦ 加藤太一	・花つける雑草むしりを先延ばし・昔日の思ひ出うかべ初夏の墓
⑧西尾えり子	・心太箸１本のすすり食べ・風鈴や留守番猫は窓越しに
⑨ 三浦鏡子	・手ろくろで作る茶碗や一夜酒・可愛げに白紫陽花の咲き始め
⑩磯村通子	・エンジンのかからぬ夕餉冷奴・ありありと世代交代どぶさらひ
⑪水井峰子	・焼津より取り寄せ作る心太・一人身の昼餉は昆布の茶漬けとす
⑫梶野弘美	・若楓コロナ明けの母生き生きと・五月空木漏れ日浴びる北濃駅