2024年5月

	令和6年5月
① 神野祐紀雄	・四葩未だ躑躅もてなす三室戸寺・風を待つ山崎川の鯉のぼり
② 遠山園生	・九人目の孫を褒めたる初節句　・初風炉やしきたり余所に茶飲み会
③新城岩夫	・病とふ頸木を解きて麦の秋・「退院」と暦に記す初夏の朝
④中根弘子	・単線の右も左も麦の秋・明治座の歌舞伎に酔ひし暮れの春
⑤池上悦美	・麦の秋踏まれし時を忘れしや・芍薬を描きつつ風の雨催ひ
⑥木田美智子	・「おころりよ」むずかる稚に走り梅雨・紫陽花の蕾を今朝も数へおり
⑦ 加藤太一	・小さくともフェンスに揺れる鯉幟・北陸新幹線山野を駆ける五月かな
⑧西尾えり子	・風を切る車窓に麦秋広ごりて・サボテンや鉢押し広げ刺刺し
⑨ 三浦鏡子	・山笑ふピンクに染まる町の中・長閑さや老人二人の立ち話
⑩磯村通子	・マラソンの完走メイル麦の秋・賑わいし立ち呑みの店亀鳴けり
⑪水井峰子	・麦の秋ゆく鳥見つゝリハビリす・ホタルイカ下げて息子の見舞来る
⑫梶野弘美	・麦秋やさまざま匂ふ里の庭・五月晴れ母と見上げた飛行雲