2024年3月

	令和6年3月
① 神野祐紀雄	・まずまずの人生消費春炬燵・死に様を晒すも良しと花の下
② 遠山園生	・友住まふ駅を通過の伊勢参り　　　・談笑の健康麻雀山笑ふ
③新城岩夫	・春鴨は水面に群れてわれひとり・「飛んでいけ」膝の痛みよ春疾風
④中根弘子	・二重橋借景にして春の鴨・故郷の出船入船春夕焼
⑤池上悦美	・三月や母の面影探す日々・十年の荷物を整理春日差し
⑥木田美智子	・春の鴨波紋穏やかなる番・すまし顔寝癖のつきしお雛様
⑦ 加藤太一	・春の鴨群れて飛び立ち池寂し・二十年ぶりパンダ鴨来し園の池
⑧西尾えり子	・残る鴨インキの滲む考の文字・夕暮れに舞ふ風の音冴え返る
⑨ 三浦鏡子	・春の便我が学び舎の百年史・春寒しまずは花壇の土つくり
⑩磯村通子	・塀越しに聞こえてきたる卒業歌・閉園に蛍の光梅満開
⑪水井峰子	・立春大吉勝手柱に貼る朝・梅みくじ引いて佐布里の日本晴
⑫梶野弘美	・残雪や青空高き露天の湯　・春の日やギターの響くティータイム