2023年12月

	令和5年12月
① 神野祐紀雄	・息白し瓦礫の中のヒジャブの娘　　・年の瀬やペットショップの五割引
② 遠山園生	・息白し朝練の子か急ぎ足・粕汁や寡黙な父の褒め料理
③ 青木志津	・石高く積んで味噌樽蔵の秋・紅葉降るお堀探検子等の声
④ 新城岩夫	・畑に出る妣の白息思ひけり・独り居のいよよ寂寥十二月
⑤ 中根弘子	・おはようの足早の人息白し・雪吊の写真と同じ写真撮る
⑥ 池上悦美	・白息を吐きて一日の始まりぬ・山峡を抜けて英虞湾冬夕焼
⑦ 木田美智子	・日の匂ひ布団ふつくら夜肌かな・冬の月お茶啜りつつ独り言
⑧ 加藤太一	・紫の鮮やかなりし式部の実・式部の実見つめて想う物語
⑨ 長谷川弘代	・求愛のダンスの丹頂息白し・車庫の奥落葉舞ひ込む一日かな
⑩ 西尾えり子	・夕陽受け畑の妣の背蒲団・黒黒と土振り落とし大根引
⑪ 三浦鏡子	・湯上りに冬至南瓜の夕餉かな・冬の夜通して眺む旅雑誌
⑫ 磯村通子	・白息や通勤急ぐ人の群れ・とろとろと青きガスの火おでん鍋
⑬水井峰子	・息白し愛車てばなす朝かな・朴落葉誰か居るよな音のして