2023年9月

	令和5年9月
① 神野祐紀雄	・新米も古米も知らず独り膳・車椅子男日傘に護らるる
② 遠山園生	・新米のお披露目に焼く五平餅・生き生きと健康マージャン敬老日
③ 青木志津	・仏前へ一言添へて今年米・旱畑ポチャポチャ水のなる荷台
④ 新城岩夫	・空に木に秋の足音いざ行かん・青葡萄友に賜り舌鼓
⑤ 中根弘子	・文机で付箋付けをり夜の秋・木漏れ日や色なき風も通しけり
⑥ 池上悦美	・台風の三つ巴なる八月尽・ゼラニウム三鉢退避の空模様
⑦ 木田美智子	・農家とて新米よりもパン好み・住む人の絶えて久しき秋簾
⑧ 加藤太一	・竈炊き新古判らずねっこ飯・白球飛び観衆の目に雲の峰
⑨ 長谷川弘代	・新米の塩むすび二人の昼餉・佇めばとんぼうの貌迫り来る
⑩ 西尾えり子	・新米をひょいと肩に運びたり・送り火に雨降りかかり傘をさす
⑪ 三浦鏡子	・収穫の近づく新米黄金色・日暮れても暑さの残るアスファルト
⑫ 磯村通子	・ふる里の自慢たらたら今年米・大皿と小皿は対よ栗ごはん
⑬水井峰子	・古米挽き彼岸団子を手づくりす・新涼やカッパドキアの地下聖堂