2023年4月

	令和5年4月
① 神野祐紀雄	・囀や御礼参りの絵馬揺るる・水を蹴り水掻き納め鳥帰る
② 遠山園生	・昭和曲八十路の夫の春舞台・草餅や餡包み込む手際よさ
③ 青木志津	・山頂の也有の句碑や囀れる・木の瘤に色をこぼして花二輪
④ 新城岩夫	・囀りに背中押されて入院す　　　・入院てふしばし別れの春の旅
⑤ 中根弘子	・囀りや彼方雲よりカンタ-ビレ・新聞で拾ひし言葉春の句に
⑥ 池上悦美	・ライラック日に日に蕾色を増し・観音の顔を見つめて春の雨
⑦ 木田美智子	・囀の美声に混じる濁声も　　　・蓬摘む節くれ立ちし指を染め
⑧ 加藤太一	・遠近に囀り多し明日香里　・ラストダンス思い出巡り春惜しむ
⑨ 長谷川弘代	・囀や鳥語を知ればなほ楽し・廃線のレンガトンネル山桜
⑩ 西尾えり子	・待ち侘びて囀りの里うらうらと・草湿り春竜胆のひそと咲く
⑪ 三浦鏡子	・囀りを聴きてうとうと椅子の上　　　・新入生背中に弾むランドセル
⑫ 磯村通子	・長屋門の脇より入りやぶ椿・急くこともなき身ゆるりと朝ざくら
⑬水井峰子	・瀬田川に行き交ふ女夫蜆舟・虎杖のポンと鳴らして下校道