2022年2月

	令和4年2月
① 神野祐紀雄	・目薬の一滴見つむ冬の朝・飢餓世代生き来し姉弟日脚伸ぶ
② 遠山園生	・寒明けや老いし一日の短かさよ　　・心身に冴え返りたる古き傷
③ 青木志津	・小流れの音のかそけき猫柳　　　　・錠前の大き伽藍や冴え返る
④ 新城岩夫	・冴ゆる夜や詩集をひろげ手にワイン　・独り居の冬の長さや古日記
⑤ 中根弘子	・マスク顔礼（いや）送られし路地の角・木枯らしを避けて３番地下通路
⑥ 池上悦美	・古手紙ラブレターかと春日差し　　　・ご詠歌を唄（とな）ふ媼や梅真白
⑦ 加藤初代	・・
⑧ 加藤太一	・群からは離るるつがいパンダ鴨・池凍てりそろりそろりと歩む鷺
⑨ 長谷川弘代	・晴天の辛夷の蕾紅ほのか・煌めくや朝日を受けし芝の霜
⑩ 西尾えり子	・二日朝箱根を駆けるたすきかな　　・葉牡丹や夫婦黙して活字追ふ
⑪ 三浦鏡子	・如月の空晴れし日の風強し　・窓の外色鮮やかに実南天
⑫ 磯村通子	・昨夜（よべ）の雪ダイヤ乱るる駅ホーム　・アキレス腱のばしてくてく春の朝