2018年9月

	平成30年9月
① 神野祐紀雄	・今朝の地震(ない)昨夜(ゆふべ)野分の　　　　　　　　　　　　　旧友(とも)想ふ・連日の台風見舞ひ地震見舞
② 丹羽しづ子	・停電や常の明りが身に入みて・ぼく「ここ」と答ふ子包(くる)み汗し降る
③ 遠山園生	・千草触れ木道の先富士見台・霊園は鬼灯の灯を点しけり
④ 青木志津	・高楼の見下ろす堀や涼新た・昼顔の占める越後の無人駅
⑤ 新城岩夫	・颱風に地震洪水地球病む・晴天も悲しき朝の颱風禍
⑥ 尾崎洋子	・秋風に耳そばだててうさぎ島・からつぽの鞄に詰めし鰯雲
⑦ 加藤初代	・盆過ぎてひんやり明ける雨の朝・虫の声ピタリと止みて風起こる
⑧ 中根弘子	・宿り木や晨風踊る赤トンボ・豊作や俳句の素材無尽蔵
⑨ 田所あつ子
⑩ 池上悦美	・てこね寿司おおばも添えて秋を食べ・忘れたる月命日やしょうが花
すずき　こうし鱸鉱志先生	・途中下車岩村駅にちちろ鳴く鉱志・峠越す通学道は葛の花